勉強法−史料

空気を読んで答える史料問題

入試問題を解くのに慣れてくるとあちこちに気が回って正解しやすくなるのですが、初めのうちはそれがなかなかできないものです。それをふまえて一つ史料問題を解いてみませんか?

問 次の資料は,近衛声明から抜粋したものである(適宜表現を改めた)。この資料に関する(1)に答えなさい。

国民政府は帝国の真意を解せず,漫りに抗戦を策し,内民人塗炭の苦みを察せず,外東亜全局の和平を顧みる所なし。よって帝国政府は爾後( ア ),帝国と真に提携するに足る新興支那政権の成立発展を期待し,是と両国国交を調整して更生新支那の建設に協力せんとす。

(1) 上の資料中の( ア )に入る語句を記述しなさい。

これは2015年慶應義塾大学経済学部の問題です。この問題について質問をいただきました。

<Aさん>
直前にすみません。慶應経済学部のグラフがなかなかうまく取れないので、15年なども軽く見直していた時に発覚したのですが、2015年の経済学部の大問2の問11、答えが国民政府を対手とせず、となっていました。河合の答えも同じでした。ここは、国民政府ヲ対手トセスではなくてよいのでしょうか?

<石黒>
史料文をよく見てみましょう。カタカナではなくひらがなで書かれていますね。なのであえてひらがなで解答したわけです。「国民政府ヲ対手トセス」と書いても不正解とはされないと思いますが、早慶クラスを狙う受験生でしたら、出題者に配慮する余裕もほしいものです。

よく見ると冒頭の設問文に「適宜表現を改めた」とありますね。また、原典が漢文の史料の場合は、書き下し方が自分が知っているものと異なっていることも多いです。本番であわあわしないようにしましょう。

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三大改革チェックテストに挑戦!

2学期の第一週の授業の復習は終わったでしょうか。
でるとこサイトでは、三大改革の各政策がいつのものかをチェックできるコンテンツ「三大改革チェックテスト」を公開しています。学習を終えた人は、ぜひ試してみてください。

実際の入試では、三大改革の政策やできごとは史料で出題されることが多いです。いくつもの史料が並べられて時期が問われることもしばしばです。史料問題対策もがんばりましょう。

※追記:公開期間は終了しました。

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やることが増えて復習の崩壊がはじまっています…

2学期に入ると、その週に習った範囲の復習と、1学期に扱った部分の復習を同時に進めなければなりません。この時期に勉強のリズムをもう1段階上げる必要があるため、先日もそのことに関する過去記事を再放送しました。今日は、具体的な質問が届いたので紹介します。

<Aさん>
こんばんわ。いつも石黒先生のノートには助けてもらって順調に日本史も伸びてきました。志望校は第一に早稲田の文化構想他に早稲田の文学と社会科学、青山の総合文化政策を受ける予定です。
今悩みに直面しています。それは、日本史の復習時間が充分にとれないということです。このブログの記事をいろいろ拝見して解決方法のヒントを探そうと思ったんですが、なかなか自分に合うものが見つからず、思い切って先生に相談することにしました。自分の復習方法は
近現代(その週にやった授業)
(1)ノート清書
(2)枠を自分で作って一週間で量を分けて復習
で文化史も含めて大体1週間2枚程度をしっかりと暗記しています。実はこれはさほど負担でもなくこの方法は自分の中ではベストかなと思っています。しかしここからが悩みなのです。1つは1学期範囲の復習です・・
夏休みを通して、近現代でやった方法と同様の方法で、1周はしました。(文化プリントも含めて)しかし、細かなところだんだんと忘れてしまうのです。それの対策で最初は電車の中でノートを2ページ毎日読むというのをやって、それでも本当に細かいのはなかなか定着しなかったので、ここは一念発起と、ノートを全部コピーして赤シートで隠せるように塗って、それをやることにしました。それで、先週まで丸く済んできたのですが・・・先週僕は先週資料を全然やっていないことに気づき、石黒先生の「どこでも史料問題」を始めました。(中略)
(1)朝の駅までの道の15分間聴く、(2)そしてその範囲をCDを聴きながら読む
という方法でやったのですが(2)に割く時間がなくなって週の途中で出来ない日が発生したうえに、1週間後には忘れてしまったりなかなか定着しません。さらに、どんどんどんどん他教科でやることが増えて赤シートのノートすらやる時間が追い詰められてきて2ページの予定が1ページになったり・・・とにかく復習の崩壊が始まってきています・・・
だからこの二つの事柄についてアドバイスをいただきたいです。
(1)このまま赤シートノートを続けるべきなのか(他によい効率よく細かいところまでできる方法はあるか)
(2)史料集の勉強方法でより効率よく定着できる方法はあるか。
の二点です。赤シートノートはもし他の方法が見つからなければ他教科の時間を少し削ってでもしっかり2ページやろうと思います。(中略)
国語も志望先が文学部系が多いため国語も重視されるのである程度時間を割いています。なので、日本史に割く時間がどうしても少なくなってしまいます・・・でも、絶対に日本史を怠りたくないです。もともと学校でも日本史だけはクラスで上位だったし、日本史は好きだし、なにより志望校に絶対に受かりたいからです!!(後略)

<石黒>
計画的にきっちり復習しているようで、心強いです。

>このまま赤シートノートを続けるべきなのか(他によい効率よく細かいところまでできる方法はあるか)
チェックペン勉強も始めのうちは良いのですが、いつまでも続けるのは効率が悪いです。赤シートで何回かまわしたら、脳内復元をベースにし、どうしても覚えられない部分だけをノートに印や付箋をつけるなどして、重点的に覚えていく方法に切り換えるべきです。脳内復元については、こちらの記事を参考にしてください。
「究極の最速ノート復元 歩き復元!」
習得度によって、うまく使いわけましょう。

>史料集の勉強方法でより効率よく定着できる方法はあるか。
『どこでも史料問題』も、考えて思い出せないところだけに印をつけて反復していくべきです。音声CDは、定着しきれないトラックだけを再生するように、プレーヤーで設定できないでしょうか。

短時間で効率良く進められるよう、工夫してみてください。

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どこでも史料問題でシャドーイング(再)

過去のブログエントリーを読みあさって、受験勉強について俯瞰することを提唱していますが、今日は史料問題対策に関する記事を紹介します。1学期ももう終盤ですから、前近代の既習範囲は、史料の勉強もどんどん進めていってください。その勉強法について、工夫していた人とのやりとりです。

どこでも史料問題でシャドーイング

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史料の出題レベルについての2つの質問

先日の「日本史道場」では、ハイレベルな正誤問題や史料問題をたっぷり解説しました。『どこでも史料問題』にはA・Bランク史料しか掲載していないので、Cランク史料にはどんなものがあるか、その中のどの部分が問われるのかをつかんでもらったのです。早稲田予備校ではオプション講座でA~Cランク史料の解説をしていますが、実際にどう出されるのかをすべて紹介しきってはいません。そこで今回は、実際の問題で体験してもらいました。とりわけ史料の内容理解をふまえた正誤問題では、史料を読解しておくことの大切さをわかってもらえたはずです。何もかもを拾う必要はありませんが、出題されやすいポイントははずさないでもらいたいものです。

さて、その史料問題について2つの質問が届いています。

<Mさん>
いつも御世話になっております。河合塾南浦和校、鈴木先輩を尊敬するMです。07学習院の文学部の問題を昨日、手に入れたので解いてみると『御触書〇〇修成』[寛保]を選ばせる問題が出てきて即答できました!先生が何気なく話していた事も拾っていて良かったです!そして、質問なのですが『御触書寛保修成』は史料レベルAなのでしょうか?他大学での出題も気になりましたので質問させて頂きました。

<石黒>
『御触書寛保修成』ではなく、『御触書寛保集成』ですね。そして、その史料レベルというのはありません。というのは、それはさまざまな史料の出典にすぎないからです。たとえば、「田畑永代売買の禁令」の史料レベルはAですが、だからといって、「末期養子の禁緩和」もAというわけではありません。というわけで、史料の出典などはノートに書いていないものも多数あるので、史料の学習で習得していってください。

<Dさん>
河合塾の藤沢現役館でレギュラーの早慶大日本史を取っていたDと申します。まずは先生、一年間ありがとうございました。冬季、直前両方とも先生の講座を取っているので、最後までよろしくお願いします。質問があります。僕は早慶大は志望していないため、今のところ、受験の予定はありません。立教、明治、青山を中心に受験を考えています。そこで、普段、史料の勉強は先生の「どこでも史料問題」を使っているのですが、「どこでも史料問題」には史料レベルABまでしか掲載されていないため、以前、先生は授業中にCDレベルまでやれよとおっしゃっていましたが、いわゆるMARCHレベルもCDレベルまで手を出す必要はあるのでしょうか。ABレベルの「どこでも史料問題」を極めるのに時間を費やす方がいいのでしょうか。長々と駄文をすみません。お願いします。

<石黒>
まず史料レベルは、ABCの3ランクにしかわけていません。そして明治や青学では、Cランク史料および未見史料も出題されています。時間のある限り、それらの対策にも取り組みたいところです。

●管理人より●
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2010年夏の日本史道場のテキストから(3)

先日、藤沢でおもしろい質問がありました。「過去問を解いてみたら、史料問題だらけで全然できなかったんですけど、どうすればいいですか?」というのです。もちろん史料問題に取り組むしかありません。通年授業は江戸時代に入ろうとしていますから、史料問題全体の半分くらいのツケがたまってしまっているという状態です。でもこれを放っておいたら、いつまで経っても過去問の正解率は上がりません。

ちなみに志望大学を聞いてみたら、早稲田の社学でした。そりゃ史料多いはずです。ただし、彼女はまだ未練があったのか、明治大学はどうですか?と言うのです。いやいや逃げてちゃいけません。早稲田同様、史料の多い大学です。

私大最高峰の早慶上智を視野に入れてるのに史料対策をしないでいること自体が、もう全然マチガイです。そういうことに早く気づくためにも過去問は6月からお願いします。出題内容を知らずに勉強するなんて、入試対策じゃなくて単なる自己満足な趣味にすぎませんから。

早慶上智MARCH学習院などを意識している「日本史道場」では、もちろん史料問題対策もします。たとえば、こんな問題がテキストには入っています。

問 12世紀後半の政治や社会の事情を示す史料はどれか,2つ選べ。
ア 此御時ヨリ院宣・庁御下文ヲオモクセラレシニヨリテ,在位ノ君又位ニソナハリ給ヘルバカリナリ。世ノ末ニナレルスガタナルベキニヤ。
イ 六波羅殿の御一家の君達といひてしかば,花族も英耀も面をむかへ肩をならぶる人なし。
ウ 我国未曾有ノ変革ヲ為ントシ,朕躬ヲ以テ衆ニ先ンシ,天地神明ニ誓ヒ,大ニ斯国是ヲ定メ,万民保全ノ道ヲ立ントス。
エ 予二十余年以来,東西の二京を歴く見るに,西京は人家漸くに稀らにして,殆に幽今日墟に幾し,人は去ること有りて来ること無く,屋は壊るること有りて造ること無し。
オ 今の例は昔の新儀也。朕が新儀は未来の先例たるべしとて,新なる勅裁漸く聞えけり。
カ 鳥羽院ウセサセ給ヒテ後,日本国ノ乱逆ト云コトハヲコリテ後,ムサノ世ニナリニケル也。

僕が「ワンフレーズ史料判別問題」と呼んでいるタイプの問題です。出典は2009年の早稲田大(人科)。こうした問題を解けるようにならないといけないわけです。答えは、次回のブログに持ち越します。じっくり解いてみてください。

一方で、順調に成績を伸ばしているワセヨビの現役生を紹介します。「ズームインDVD」の受講生です。

<Sさん>
お久しぶりです、川越校のSです。さっそくなんですが日本史のアチーブの答え合わせをした所....91点でした『自己採点』確かに前回よりは大幅に上がりましたが目標より9点たりませんでした。次は100をとれるようにもっともっともっとがんばりたいです。さて本題です。
日本史道場についてなんですが第二回はありますか?また行う内容はどのようなレベルなのでしょうか?もう一つは勉強とは関係ないのですが僕自身政治家を目指しています。今の政治家、いや政治について先生はどう思いますか?関係なくてすいません。

<石黒>
いっきに9割台に乗せるとは、やりますね。この学習水準をがんばって維持してください。日本史道場は12月にも行う予定でいます。レベルはMARCH学習院以上です。念のためお伝えしますと、7月17日の講座にはまだ若干空席があります。
それから政治についてですか。国政レベルだとがっかりすることばかりですね。「本気で国のことを考えて仕事をしている人がどれだけいるのだろう?」って思います。

採点し直したら89点だったとのこですが、どちらにしてもなかなかやりますね。今月のアチーブは成績が伸びた人が多かったようです。順位表が出るのが楽しみです。

そして、こんな質問もいただきました。

<Wさん>
河合塾に通っているWです。お忙しい中何度も質問してしまいすみません。早慶上智プレミアム、申し込まさせて頂きました!そこで質問なのですが、通常授業を取っていない人にはあまり向いていませんか? 違う塾に通っている友人に話したところ、すごく興味を示してくれたのでぜひ教えて頂きたいです。

<石黒>
通年授業を取っているかどうかは関係ありません。講習でも3分の1くらいは外部生と高卒生だったりします。お友達によろしくお伝えください。


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本当の出題率を知るための史料データ取得法

ひとくちに入試データと言っても、さまざまなものがあります。以前にある大手予備校が「過去ン年分の入試データを持っています」と新聞にうたっていたのは、なんと単なる入試問題の画像データでした。次に、意外と気づいていない人が多くて驚かされるのは、山川出版の『日本史B用語集』に掲載されている「頻度数」です。あれは入試の出題頻度ではなく、単に何種類の教科書に掲載されているかという数字です。それ「頻度」じゃなくて「掲載数」って言うべきじゃありませんか?

当方が取っているデータは、純粋に「正解を導き出すために必要だった知識のデータ」です。このため、問われた用語をチェックしているだけではないのです。たとえば墾田永年私財法についてなら、「位階(身分)による面積制限があった」ことが正誤問題で問われます。そうした「内容」の出題データも取るようにしているのです。そこまでしなければ、「何を」教えるべきかははっきりわかりません。

そして、史料問題の場合は「空欄語句」「意味聞き語句」「史料判別」「出典」など、これまた細かくデータを取るのです。前述の用語などとは別に、史料問題のデータベースをつくってあるのです。そして言うまでもありませんが、定番史料ではない未見史料のデータも取っています。

そうすると見えてくるのは、山川出版の『日本史史料集』に載っていない史料でも、入試では結構出題されているBランク史料があるってことです。それらは当然『どこでも史料問題』に載せています。さらに多くの市販の史料集に載っていない「未見史料」なのに、意外と出題されている史料というのがあります。そうしたものは『難関大用語集解』に「意外と出る未見史料」と題して34個の史料を収録しました。

さて、その史料問題について質問をいただきました。

<Yさん>
こんばんは。でるとこ史料問題を買うかどうかとても迷っています。でるとこ史料問題に載っていない問題はどうしたら良いのか教えてもらえませんか?よくある質問の所に載っているのはわかっているのですがWeb制限のため見れませんパソコンもありません。お手数おかけしてすみません。読むだけ日本史と日本史でるとこ日本史攻略法を使っています。とてもわかりやすいです

<石黒>
『どこでも史料問題−史料編−』に載っていない問題は、Cランク史料と未見史料になります。このうちCランク史料は、『どこでも史料問題−問題編−』および『頻出史料でるとこチェック』に結構載せられています。残るCランク史料は、冬の「日本史道場」で紹介するつもりです。一方、未見史料は史料読解力を養って解いてください。
また、こうした教材・講座を使わない場合は、山川出版や第一学習社などの史料集を見て、『どこでも史料問題』に載っていなかったものをチェックする方法があります。どこが空欄になるかとか、どの部分の意味が問われるかがわからないのが弱点ですが、それでも読んでみる価値はあります。
それからWeb制限のご指摘ありがとうございました。リンクを修正いたしました。よろしかったら再度ごらんください。

<Yさん>
返信ありがとうございます。ブログ見れました。ありがとうございます。昨日書店で史料問題を見てきたのですが、その時に買うなら□□の『□□□□□□□□□』が良さそうだなと思いました。一番欲しいのは石黒先生の史料集なんですが価格が高めなので、□□の問題集と石黒先生の『問題編』と『頻出史料でるとこチェック』を使おうかと思ったのですが、どうでしょうか?度々すみません。お願いいたします。

<石黒>
まあ何もやらないよりは良いのではないでしょうか。先日授業で紹介した、Bランク史料の○○○○は掲載されていないようですが。同じくBランク史料の△△△△も掲載されておりません。どんなデータの取り方なのかが想像つきます……。◇◇先生ご本人が本当に一題一題解いてデータを取ったわけではないのでしょう。そうしたリスクを十分理解したうえでお取り組みください。

上記の問題集は出題データにもとづいて作ったと表示しているのに、なぜBランク史料が掲載されていないのでしょう? 出題頻度の低いCランク史料もたくさん収録している問題集なのに、おかしいと思いませんか?

実はこの2つのBランク史料は、山川出版の『日本史史料集』にも掲載されておりません。そうすると邪推したくなってきます。もしかして、上記の問題集を作る際のデータ分析って、こんな作業だったんじゃないか? と。

(1)入試問題を片っ端から見ていって、史料問題を見つけたら山川の史料集と照らし合わせる。
(2)山川に掲載されていれば、そこに直接出題箇所をマーキングする。
(3)山川に掲載されていなければ、未見史料として無視する。

入試では未見史料問題もたくさん出題されているので、すべての史料問題のデータを取るのは大変なのです。そこで山川に載っているか否かで、振り分けたのではないでしょうか。これくらい単純に割り切らないと、作業効率としては悪すぎです。また、この作業ならアシスタントにやらせることもできますね。

一方、僕は山川では判断しませんでした。山川に載っていようが載ってなかろうが関係なく、単に史料文をパソコンに打ち込み、問われた用語のカードを1枚1枚作っていったのです。馬鹿みたいに時間のかかる作業でした。今でも入力してますが、新しい未見史料は毎年増えていますから、手間がかかることこの上なしです。もちろん誰も給料を出してくれません。今でこそ史料問題集を販売してますが、昔はそんなこと夢にも思わず、ただただ作業を続けたのです。どう考えても頭のイイ人がやる作業ではありませんね。


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史料の現代語訳でベストな参考書はどれ?

日本史の入試問題がどんなものかがわかってくると、文化史や史料問題対策が欠かせないことに気づくでしょう。動きの早い人は、すでに3月の時点で取り組みだしていました。今日はその一人からの質問を紹介します。遠く北海道にお住まいの方です。

<Sさん>
1ヶ月ほど前にでる日の文化史と史料を購入させていただいたS(北海道のという枕詞がついたほうがわかりやすいかもしれませんね)です!買ってすぐ送っていただいた天皇や儒学者の歌はとても覚え易く素晴らしかったです!
さて本題ですが、学校で買わされたすごく薄っぺらい史料集で現代語訳を見て、どこでも史料問題を進めていたところ、学校の史料集には載っていない史料が多々ありました。そのため新たに史料集を買おうと思いますが、レビューが良く、大学入試用の「○○史料」や「△△史料集」を買おうか、おとなしく山川の史料集を買おうか迷っています。石黒先生はどう思われますか?また「○○史料集」や「△△史料集」ではどこでも史料問題に載っている史料を網羅できているでしょうか?

<石黒>
教材を使ってくださっているようでありがとうございます。替え歌も気に入っていただけたようで何よりです。

さて史料についてお答えします。○○先生の史料問題集は何種類かあるのでどれのことかがわかりませんが、現代語訳がついているのでしょうか? 確認した方がいいかと思います。以前に生徒から見せてもらった史料問題集には、入試にまず出ない小問が見受けられました。○○先生オリジナル問題が各所に挿入されている可能性があるのでご注意ください。
次に△△先生のものですが、こちらは現代語訳がついているのでその点は大丈夫です。また、史料の数もかなり多く入れているので、ほぼ網羅されているかと思います。ただ、山川出版の『日本史史料集』とくらべると値が張るのと、現代語訳が史料文の行間に黒字で書かれているため、史料文だけを読んで意味を考える鍛錬はしにくいかと思います。また史料の数が多いので、使う場合は各史料の出題率を意識して取り組むべきです。

というわけで、単に現代語訳がほしいだけでしたら、山川出版のもので十分な気もします。辞書的に使うという意味です。一方で、マイナーなCランク史料まで広く穴埋め箇所をチェックしておきたい場合は、△△先生のものが良いかと思います。そしてこれは蛇足ですが、一応 derutoko.com のものも紹介すると、『どこでも史料問題−問題編−』と『頻出史料でるとこチェック』にCランク史料が結構含まれています。昨年は、そこにも載っていない史料を一日完結講座の「日本史道場」で補いました。S君の場合、さすがに遠くて来られないと思いますが。

これからも教材の内容などで疑問が湧いた際には、遠慮なくご質問ください。

いろいろ難しい事情もあるので、文中のあちこちを伏せさせていただきました。
ちなみに、この山川出版の『日本史史料集』そのものでは、史料問題対策をするのは困難です。なぜなら史料文中の赤字が入試問題の出題状況とずれているからです。それどころか赤字が2行、3行と続くほど長いことも多く、赤シートで隠したら何がなんだかわからなくなってしまうからです。そんな話もすでに記事にしてますね。笑えますのでごらんください。まあ長文暗記能力が高い人ならイケますけどね。あーそういえば、史料文をそのまま暗記させる講師がいるんだそうです。なんともったいことでしょう。そんな能力があるなら、英語構文の暗記にあててください。


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ハル=ノートの史料はこれです

通年授業を受講している方にお知らせです。
37番ページのハル=ノートのところで、
「できれば史料を見ておきたいです」と言いましたが、
多くの市販の史料集には、それが掲載されていませんでした。
載っていないことを忘れていました。すみません。
というわけで、ここに載せます。

「日米交渉11月26日 米側提案」(1941年11月26日)
第二項 合衆国政府及日本国政府の採るべき措置
二 当国政府は、米、英、支、日、蘭及タイ政府間に各国政府が仏領印度支那の領土主権を尊重し且つ印度支那の領土保全に対する脅威発生するが如き場合、斯る脅威に対処するに必要且つ適当なりと看做さるべき措置を講ずるの目的を以て即時協議する旨誓約すべき協定の締結に努むべし(中略)
三 日本国政府は支那及印度支那より一切の陸、海、空軍兵力及警察力を撤収すべし
四 合衆国政府及日本国政府は臨時に首都を重慶に置ける中華民国国民政府以外の支那に於ける如何なる政府若くは政権をも軍事的、経済的に支持せざるべし
五 両国政府は外国租界及居留地内及之に関連せる諸権益竝に一九〇一年の団匪事件議定書に依る諸権利をも含む支那に在る一切の治外法権を抛棄すべし……
九 両国政府は其の何れかの一方が第三国と締結しおる如何なる協定も、同国に依り本協定の根本目的即ち太平洋地域全般の平和確立及保持に矛盾するが如く解釈せられざるべきことを同意すべし

カタカナ表記を読みやすいようにひらがなにしています。
この史料問題が早稲田大や中央大で出題されていますが、
何よりも心配なのは、史料そのものではなく、
ハル=ノートの内容の正誤問題です。
そこで、いっそのこと史料文を読んでしまおうというわけです。
実は、これにかぎらず史料文を読むと、
「そうだったのか!」とうなずかされることはよくあります。
早・慶・上智・明治を考えている人は、
史料学習を通じてそんな特典も得てくださいね。

さて、金曜日の朝、大和書房の編集のHさんが、
直接自宅まで新刊を持ってきてくださいました。

「2時間でおさらいできる日本史」大和書房

僕の書いた本の中では、文庫本サイズは初めてです。
それゆえカタチが実に新鮮で、
しかも中の細かいデザインも結構きれいなんです。
市販本の自著の中では一番お気に入り本になりました。
ぜひ、書店でお手にとってみてください。
『2時間でおさらいできる日本史』(だいわ文庫)です。


史料の勉強は、予備校のテキストで大丈夫ですか?(再)

このブログでも何度も書いていますが、
本当の入試の出題状況に沿って作られている教材は
世の中になかなかありません。
たとえば史料対策のテキストにしても、
史料文が掲載されているだけで、
どの部分が入試で問われるのかがわからない教材では
意味がありません。
みなさんは入試問題のレベルをちゃんと意識しながら
勉強しているでしょうか?
こちらの記事を読んでみてください。

史料の勉強は、予備校のテキストで大丈夫ですか?