清水亜衣さんの遺言 <2005年度入試>

石黒から
最初に、清水さんのことを簡単に紹介します。清水さんは、高校三年生の夏くらいから授業を受けていましたが、浪人した後も、そのまま同じ早稲田予備校で授業を受けてくれました。英語が弱点だったため、第1志望を早稲田とはせず、立教と言っていました。しかし、文中にもあるとおり11月になって、「早稲田を受けようかと思うんですが……」と相談に来たのです。彼女の成績が上がってきていることを知っていた僕は、「当然受けるべきでしょ。っていうか射程距離内に入ってるよ」って答え、この時期から早稲田を狙うにあたってのコツなどを話したのです。そして、結果はみごと早稲田商学部に合格です。今は、スタッフ(チューター)として早稲田予備校に来てくれています。これだけ長い文章なのに、携帯で書いてくれた清水さんに、感謝、です。



<しゃべり勉強について>
私がやったしゃべり勉強について、どんな風にやるのか、またどんなところが良いのかについて書きたいと思います。しゃべり勉強をやるにはまず先生の授業をきくことから始まります。私は先生の授業を録音していましたが、録音があれば復習が万全かと言ったらそんなことはありません。なぜなら黒板で説明するとき「ここ」って指をさしたり、手で説明するとき「この人が」と言ったり、先生はあえてそういう言葉を使っているようです。「ここ」ってノート上のどこのこと言ってるのか、「この人」って誰のこといってるのか、きちんと授業中に理解しないとMDを聞いてもわからないんです。先生が黒板を使って説明してくれるのは「一回きり」です! 授業中に理解をしていないとしゃべり勉強はできません。それから、「あの時は〜だったけど、この時は…」とか、「こういう理由で×××になった」といったような[似てるもの同士の対比][因果関係]も重要です。似ているようなものは誰だって間違え易いんです。 あとは自分がどうやってそれを克服するかです。先生は入試のプロですからどこが危険なのか知っていますし、授業中にも注意して下さいます。その注意をちゃんと聞いてチェックしたもの勝ちだと思います。さらに、内容をきちんと理解していると自分でも、「あっあの時のと似てる! でもここが違う。」とか気付けるようになります。これがまた楽しいところだと思います。似てるところと同時に違うところもしっかりおさえて対比できるようにしてください。因果関係についてもしっかり授業を聞いて把握しておきましょう。歴史に因果関係はつきものです。

次にノートに写すときはMDを聞きながら書いていました。そのあとも何度も何度もMDを聞きました。電車の中、バスの中、ごはん食べてるとき、寝てるときetc(寝てるときに聞いて効果があったのか正直わかりません)でも何度も何度も聞くことで自然と身につくってことがよくありました。これって音楽も一緒じゃないでしょうか。聞いてるうちに自然と歌詞を覚えちゃったってことありますよね。こういう能力があるんだったら利用しなければ損です。

そして、復元です。私はまず英語が苦手でしたので予備校にいるときは大部分を英語と国語に費やしてました。日本史は英語に飽きたらノートを開いて見たり、国語が嫌になったらMD聞いて復元したり、日本史が好きな科目だったのでそんなことをしていました。ただし、家では日本史に集中しました。家だったら黙って勉強してる必要はありません。一人でぶつぶつ言っても問題にならない場所です。なので、家でやるならぜひ内容をしゃべってみて下さい。しゃべりながら復元する時、私は先生のしゃべり方のまねはできなかったので(笑)、先生が説明するときの身振り手振りをまねしてました。この方が私にとって頭に残りやすかったし、理解しやすかったからです。内容をしゃべるとどんなとこがいいのか、それは自分がわかったつもりになっているところをすぐに発見できちゃう! というところです。模試などを受けて苦手な箇所を見つけるという方法もありますが、問題の出され方によっては、なんとなく正解できてしまって、本当はわかっていないということが、明確にならないときもあると思います。 でも、しゃべり勉強は自分が理解できてないところや曖昧なところなどが一目瞭然です。理解できてないところはしゃべれませんし、曖昧なところはつまずいたりします。そういうところをMDをもう一度聞いてみたり、(こういう時にあらかじめMDにトラックをうっておくと非常に便利でした。私もまねさせていただきました。)用語集で調べてみたりなどしてつぶしていくようにするといいと思います。

さらに、しゃべり勉強をやって内容を理解できると、問題の解き方が変わってきます。丸暗記とは違って、ただの選択問題でも単語を選ぶときに内容も丸ごと思い出して解くので、かなり解答に自信があります。これしかありえないよって思いながら解いていくので、他の選択肢がギャグに見えます。丸暗記ではないので、他の選択肢に引っ掛かるってことがないわけです。全く知らないことがでても別の関連からある単語を引き出すことも可能です。つまり「推測」と呼ばれるやつです。これはぜひ入試までに養ってほしい能力です。内容理解が前提にあると思います。

最後に…私はしゃべり勉強を現役の時からやっていたわけではありません。現役の時は効率の悪さが失敗の原因だったと思います。なので浪人してからは、いつも効率のいい勉強法を考え、実際にやってみたりして自分に合う勉強法を探しました。しゃべり勉強も先生があれだけおっしゃっているにもかかわらず、やろうとしませんでした。理由はたぶん、私の中では受験勉強は机にへばりついてひたすら手を動かすというイメージがあって、しゃべるのが良いなんて少し意外だったからです。そして、浪人して先生の言われた通りの方法をやってみようと思い、しゃべり勉強を実践してみました。初めてやったときの感想は「楽しい」でした。すらすらしゃべれるようになればもっと「楽しい」と思うようになりました。もちろん理解してしゃべるまでが大変だったりするところもあります。でも、やっているうちにアチーブメントテスト(早稲田予備校で行われている月1回の校内模試)の点数が上がって、結果が出るようになると、やめられなくなりました。英語の文法などもしゃべって説明するようになりました。 私はしゃべり勉強のおかげで早稲田に合格したと言っても過言ではありません! 私にとってしゃべり勉強は効率よく点数を上げる方法でした。もちろん、しゃべり勉強が全てではありません。もっと違う方法があるかもしれません。それはこれから勉強していくうえで自分で考え、発明していくのもいいと思います。私の場合、もともと効率の悪い人だったので、自分で発見するより先生や偉人の遺言などを読んでそれをまねしていました。だから方法としては先生がおっしゃっていたことと同じかもしれませんが、「内容理解のいいところ」などは私の生の感想です。

赤本について、一言。私が早稲田を受けようと決心したのは11月でした。なので赤本をやり始めたのも11月でした。正直胃が痛くなりました(笑)遅いなんてもんじゃないです。本気で早稲田を目指すなら赤本は夏からやったほうがいいと思います。赤本では正誤問題の研究をしてください。私は研究が不十分でしたし、時間配分もうまくできずぎりぎりでした。本番では本当にいっぱいいっぱいでした。なんでこんなとこで間違えるの? っていうつまらないミスもあったと思います。私の場合は本当にぎりぎりの合格でした。自分でもわかっています。だから、早稲田を目指すのに11月からでいいなんて決して言えません。どこの大学だって同じです。よくパンフレットに書いてあるような合格最低点を目指していては合格なんてできないと思います。目標は高くいきましょう! 早稲田を目指すなら最低点ではなく、それこそ最高点を目指してください。そして最後まで諦めないで頑張って下さい。私の例は最後まで諦めなかったら何か起こるかもっていう例にはなると思います。ぜひ、試験終了のベルが鳴るまで諦めずに頑張って下さい。


<心構えについて>
私が推薦ではなく一般入試を選んだのには訳があります。親には一般で一年間勉強するよりも推薦で入った方がいいよと言われていました。推薦の方が楽だし、一年間も勉強なんてできないだろうと思われていたようです。でも、それは仕方がないことだと思います。そのころの私は、たしかに親を見返すようなことをしたことがなかったし、頼りない子供だったと思います。だから、この受験を一般で受けて必ず成功させて、周りの人を見返してやろう! と思ったのがきっかけです。最初は喧嘩もしたし、なかなか認めてもらえず悲しくなるときもありましたが、現役のときはそれなりに最後までもがききったと思っています。結果的には全滅でしたが、親も「あんたがここまでやるとは思わなかったよ」と言ってくれました。3月受験をすすめられたりしましたが、私はこの受験は絶対に成功させたかったので、浪人することにしました。浪人してからは大変でしたが、自分の力が試せる期間が一年間与えられたと思って思う存分頑張りました。辛かったけど今までにないほど密度の濃い一年間でした。 自分が頑張れば頑張るほど周りの人がそれに気付いてくれて、結果を出せば出すほど認めてくれるんだということがわかりました。それから自分の可能性はやってみなければわからないということもわかりました。周りの人に推薦にしなさいと言われて素直に推薦にする人を何人か見てきました。推薦は推薦でいいと思いますが、なんかすごくもったいない気がしました。いろんな可能性があるのにもったいないです。先生がおっしゃっているように、偏差値40の人が勉強して早稲田に行くことだってあります。私だってそうでした。先生に「早稲田を一個だけ受けても受からないから他の学部も受けてみなよ」と言われていなかったら商学部に受かることもなかったでしょう。

また、私は一般入試にこだわって最後まで妥協せずに頑張って本当によかったと思います。早稲田の合格発表で自分の番号を見たとき、私は間違っていなかったんだということを確信しました。すごく嬉しかったです。この受験は私のこれからの土台になっていくと思います。だから、ぜひこれから受験する方たちには、自分の可能性を決めつけることなくじゃんじゃん挑戦してほしいです。そして、勝手に可能性を決める人たちにいい意味で反抗してほしいと思います。予備校には生徒の可能性を信じて下さる先生方やアドバイザーの方たちがいらっしゃいます。11月からでも私に早稲田をすすめてくれるんですよ?! 正直驚きました。でもそれが生徒を信じている証拠だと思います。私は石黒先生にとても感謝しています。ありがとうごさいました! これからもお体に気をつけて頑張って下さい。

最後に、自分を信じるってことはつまり、最後まで諦めずに勉強することです! 諦めたら終わりです。でも、諦めなかったら何かが得られるはずです。自分の目標に向かって頑張ってください。


●コメント
おもしろいですねえ。やっぱりなかなか「しゃべり勉強」は始められないものなんですね。でも、やってみて成績が上がると「やめられなくなりました」って笑えます。この「敷居をまたぐ」までが時間がかかるんでしょうね。人生なんでも、新しい一歩を踏み出すのは大変です。ははは。そして、講師としての僕が非常に共感したのが、この部分です。
しゃべり勉強をやって内容を理解できると、問題の解き方が変わってきます。丸暗記とは違って、ただの選択問題でも単語を選ぶときに内容も丸ごと思い出して解くので、かなり解答に自信があります。これしかありえないよって思いながら解いていくので、他の選択肢がギャグに見えます。
そうなんですよ。出題者が用意した正解以外のダミーの選択肢に笑えるわけです。「あー、うまい選択肢持ってきたねえ」とか、「これが答えなんてありえないよ!」彼女の言うとおり、ギャグに見えるんです。今、受験をがんばっているみなさんには、ぜひ、この境地に達してほしいです。
それにしても、親に推薦入試を勧められて、一般受験に反対されていたとは驚きました。そういう環境の中で、しかも志望校をランクアップさせて合格を勝ちとった彼女には感動します。基本的に僕は反骨精神野郎なので、この手の話は大好きです。逆に言えば、「しゃべり勉強、は? 何それ?」って思う生徒がいることも、十分理解できます。一種の反骨精神とも言えますから。ただし、自分の考えに凝り固まって、新しいやり方に踏み出せないでいるのも、それはそれでステージが低いなあ、とも思うのです。大学受験というのは、なんだか学歴社会に呑み込まれているようで、むなしく感じてしまう時もあるでしょう。そこそこの大学の指定校推薦を取って、簡単に合格をGETしたくもなるでしょう。しかし、本気でがんばって、何かを勝ち得た時には、その経験は間違いなく、自分の力を信じるよりどころになるんです。自分を信じることができない人が、世の中にはたくさんいます。そういう人は、弱いし、流されやすいです。 だったら、もっと何かに真剣に打ち込んでみればいいのに、そして、もっと誰かから認められるといいのに、と思うんです。今まで親や先生に認められたことがなく、信じてもらったことがないから、自分に自信がもてないのです。でも、簡単に認められたいというのも、甘い考えです。周りに認められたいなら、真剣勝負をすべきです。逆に言えば、真剣勝負で認められたコトでなければ、何の自信にもつながりません。宝くじで1億円が当たって、「俺は金儲けの才能がある」と信じる馬鹿はいないでしょう。
そういう意味で、清水さんの遺言の中で、一番うれしかったのは、「この受験は私のこれからの土台になっていくと思います。」という言葉でした。たぶん、この受験で得た自信をもとに、これからもっと大きな経験ができるはずです。見た目は小さくて頼りなさそうな彼女ですが、非常にたのもしいかぎりです。
(2005年7月)


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