センター試験では正誤問題が大変多く出題されますが、私大の正誤問題とは一風変わった問題が結構あります。 このため、センター試験だといってなめてかかると痛い目にあいます。私大では単に「語句入れ替えタイプ」の誤文が多いのですが、 センター試験では「内容誤りタイプ」の誤文が目立つのです。たとえば、次のような問題です。
問  中世における『御成敗式目』の受容のあり方について述べた文として誤っているものを、
     次の@〜Cのうちから 一つ選べ。

  @ 鎌倉幕府は『御成敗式目』を基本法典とし、
      その後は必要に応じて『御成敗式目』に対する追加法という形で新たな立法を行った。
  A 鎌倉幕府は御家人どうしの争いだけでなく、御家人と荘園領主の争いにも『御成敗式目』を適用した。 
  B 室町幕府は『御成敗式目』にかわって『建武式目』を基本法典としたので、
      その追加法は『建武以来追加』とよばれた。
  C 戦国時代、『御成敗式目』は法典としてだけでなく、読み書きの手本としても読まれた。 
    98年センター試験日本史B(本試験)
 答えはAでもCでもありません。Bです。御成敗式目は武家社会の先例と道理を基準につくられたものなので、武家政権である室町幕府もこれを基本法典としました。 建武式目は法典ではなく「幕府の施政方針」です。足利尊氏の「どういう政治をすべきか」という諮問に、中原是円や玄恵らが「このようにすべきです」と答申したものなのです(ちなみに中原是円は、かつては二階堂是円とされていました)。 まさに「内容誤りタイプ」の誤文です。この年の受験生の多くが撃沈したことでしょう。
 さて、AやCにも触れておきましょう。御成敗式目は武家社会だけに適用された法典です。公家社会では律令などの公家法が、また荘園領主のもとでは本所法が共存して用いられました。 このこともよく正誤問題に出されやすいのですが、「御家人と荘園領主の争い」すなわち武家と公家が衝突した場合には、公家政権より優位な立場にあった幕府の法典が用いられたのです。これは承久の乱で幕府が公家勢力を破ったことが背景にあります。 その後、御成敗式目は「庭訓往来」などとともに教科書として使用されました。武家社会の基本法典を使って読み書きを習うというのは、実に理にかなったことに思えませんか。
 それでは最後に本当に理解できたかどうかの確認です。
空欄に適当な語をあてはめよ。
建武以来追加は、室町幕府が( a )に対する追加法令として発布したものである。
99年明治大(文)
解答:御成敗式目(貞永式目)
92年同志社大(文)、94年成蹊大(文)、96年立命館大(産社)、98年慶應大(文)